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ロックの部屋

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JOHN LENNON

ジョン・レノン『ANTHOLOGY』



昨日、今日と忘れかけていた事件のことを、思いださせられてしまった。そう、インターネットでも新聞紙上でも報道されていた記事。

《1980年、ビートルズのジョン・レノンさんを射殺したマーク・チャップマン服役囚(49)に対する仮釈放に向けた審問が来週中にも行われる。もし仮釈放が許可された場合は、「彼には死刑がふさわしい」とするファンが同服役囚を処刑するとの書き込みがインターネット上で多数掲載されていることが27日、分かった。》 ~ヤフー・ニュースより~

もし仮釈放されたとして、彼がジョンのファンの手によって殺されたとしても、「ああ、やっぱり」としか思わないだろう。それほどジョンの死によってどれほどの人間が音楽ファンが悲しみとどん底に突き落とされたか、分かるまい。彼が生きながらえている限り、いまわしい記憶と痛みは消えることがない。この世に存在することさえ、いまわしい。

この私もジョン・レノン信者の一人でもありましたが、事件以来ジョンのアルバムを聴く機会が減ってしまいました。正確に言うと機会が減ってしまったのではなく、聴けなくなってしまった。聴いていると段々辛くなって悲しくなってしまうのです。

『ANTHOLOGY』というアルバムはジョンの死の18年後の1998年後に発表されたものですが、4枚組のボックスセットで1万円もしましたが買いました。内容はアコースティックで鮮明、ジョンの声がダイレクトに伝わってくる素晴らしいものです。売るためのアレンジは一切していないので、ジョンの素がみえます。オリジナルヴァージョンよりも良いくらいです。それだけ、悲しみもよけい感じてしまうのですが。

この『ANTHOLOGY』はEMIが進めたものですが、これを引き受けたヨーコさんも大変辛い思いをしていたことが、ライナーノーツに書かれています。

「このプロジョクトはあくまでも世界中の何百万人というファンのためであり、ファンを喜ばせるためのものでした。ただ、制作の過程で私が味わなければならない苦痛はいったいどうすればいいのでしょう。私にとってはつらい経験でした。テープから流れてくるジョンの声を聴いていると、私はまるであのころにタイムスリップしたような感覚に襲われます。私は自分で自分をつねって、もうあのころとは違うんだと自分に言い聞かせなければなりませんでした。ふたりがともに生きたあの時代は終わったのだと。私は頬をつたって流れる涙を止めることができませんでした。とても辛かった。」

このテープをショーンに聴かせたヨーコさんは息子の「お母さん、お父さんの、ものすごく良かった」の言葉に二人で涙を流し合ったといいます。ジョンの曲を聴いて息子が喜んでくれた、そしてヨーコさんの気も楽になったのです。

『ANTHOLOGY』を聴きながら書いていたら、やはり悲しく辛くなってきました。

マーク・チャップマンが釈放されるという事は、ヨーコさんやショーンの不安を大きくすることでもあります。最初に書いたように、ファンに暗殺されても不思議ではありません。49歳という年齢も不吉です。4は「死ぬ」で9は「苦しむ」とも読めます。

過去にも何度か仮釈放の申請は却下されているようですが、今回も却下されるかもしれません。ただ服役し続けていた方がチャップマンにとっては安全なのかもしれませんが。

                        (2004-09-27記)


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